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2023-05-20

『日本史サイエンス』

面白かったです~!
蒙古襲来を実際の造船、必要な木材量、時間的制約から検証していく
蒙古船の復元までやって検証
それから海流、季節風、博多湾の水深、具体的な上陸の限界を検証
武器と戦闘法の検証

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日本史サイエンス
蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫る
播田 安弘

(ブルーバックス) 講談社 – 2020

『蒙古は上陸に失敗していた! 
秀吉には奇想天外な戦略があった! 
大和には活躍できない理由があった!
日本史の3大ミステリーに、映画『アルキメデスの大戦』で戦艦の図面をすべて描いた船舶設計のプロが挑む。』
https://bookclub.kodansha.co.jp/title?code=1000037791

『著者の播田安弘さんは1941年生まれ。父は造船所経営、母の実家は江戸時代から続く船大工の棟梁。
三井造船(当時)に入社し、大型船から特殊船までの基本計画を担当した。
半潜水型水中展望船、流氷砕氷船「ガリンコ号2」、東京商船大学(当時)のハイテク観測交通艇などを開発。
2008年には日本初の水陸両用バス「LEGEND零ONE号」の船舶部分を設計した。
定年後は船の3Dイラストレーションを製作する「SHIP 3D Design 播磨屋」を主宰し、19年公開の映画『アルキメデスの大戦』では製図監修を担当、戦艦の図面をすべて手描きで作成』
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000344914

『第一章で、①必要な木材量から史書に記載されたような短期間での大舟300隻の造船はあり得ないこと、
②博多湾の水深から蒙古船団は博多湾の西側にしか停泊できないこと、
③上陸用の小舟の収容人員から一日で全将兵が上陸したことはあり得ないことを順次論証していく。 
 そして、①秋という季節から台風は考え難いこと、
②最近流行の威力偵察論も軍事的合理性からあり得ないことが結論付けられる。
 蒙古軍団が撤収したのは、対馬海峡には荒天の季節が迫っていて、航行不能になることを避けるためだったとのことである。』
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/RF7MZSIUS2X2I/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4065209579

『秀吉の中国大返しは、兵站の考察が面白かった、どこから物資をかき集めたのか?その準備時間は?ってのを考えると確かに面白いかもしれない。』
https://bookpass.auone.jp/titles/BT000084709800100101/reviews
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2023-05-19

『炎環』

読みました~!
面白かったです~!
頼朝がうすら寒くて怖い
全成のキャラが興味深い
梶原景時がむちゃくちゃかっこいい
政子の妹が怖い
義時と義村の密やかな戦いが迫力

nagai78enkan.jpg

『炎環』永井路子
『阿野全成(頼朝の異母弟)、
梶原景時、
北条保子(北条政子の妹)、
北条義時(北条政子の弟)がそれぞれの短編の主人公

源頼朝の伊豆挙兵を頭にして、鎌倉幕府の成立を軸に、連作短編の形を採っている。
「悪禅師」では阿野全成(頼朝の弟)、「黒雪賦」では梶原景時、「いもうと」では北条保子(北条政子の妹、全成の妻)、「覇樹」では北条義時をそれぞれ主人公としている。
源実朝暗殺事件の黒幕を三浦義村として描いたが、「義村黒幕説」はその後歴史学界にも影響を与えた。
NHK大河ドラマ『草燃える』の原作の一つ』
1964年 のち文春文庫
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82%8E%E7%92%B0

2023-05-18

『頼朝と義時』

こちらも最新研究の解説ということで読みました~!
個々の事件、問題点の解説が詳しく、なるほど~
東国の軍事政権 の確立の意味、
義経の鵯越の真相、義経の勝因、頼朝と義経の確執の件、
頼朝と後白河の交渉、頼朝が得た権限、征夷大将軍の意味と価値、
奥州藤原氏の存在感の驚異、奥州合戦の目的と意味
頼朝の到達点と限界、義時の存在価値…なかなか面白いです

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呉座 勇一
『頼朝と義時
武家政権の誕生』
講談社現代新書 2021
(最新研究の内容とのこと)

『日本史を変えた「鎌倉殿」と「執権」という、2人の政治家――。
源平合戦から承久の乱まで、武士中心の社会は、いかにして生まれたか?
朝廷と幕府の関係が劇的に転換する日本史上の画期を描き出す!』
『貴族的であるがゆえに頼朝には限界もあった。
朝廷に仕える「王家の侍大将」という自己認識が強く、朝廷と大きな軋轢を起こしてまで武士たちの権利を擁護するという意識は希薄だった。
結果、鎌倉幕府成立後も、公家が武家に優越する体制は続いた。この体制を覆したのが承久の乱であり、その勝者が義時である。
東国武士として生まれ、かつ義兄頼朝の政治(と権謀術数)を学んだ義時という人物が、頼朝の後継者として必要だった。
武士一般の利益を代弁する組織としての鎌倉幕府が成立するには、頼朝と義時という二人の政治家が不可欠だった。
どちらか一人だけでは不十分なのだ。本書が武家政治の創始者として、頼朝と義時の二人を取り上げる所以である。』
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000358414

『本書では基本的に他説も引き合いに出した上で、著者の見解を併記している
有名な例を挙げると、承久の乱の追討対象に関して、本郷氏は従来定説通り「倒幕」であり、坂井氏は「義時個人」、呉座氏は「結果的には倒幕」という解説をしている。
一方で、実朝暗殺に関しては、本郷氏は「北条氏黒幕説」、坂井氏は「公暁単独犯」、著者呉座氏は「北条氏黒幕は考えにくい」というもの』
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R801IL9IFZR0V/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4065261058

『武家政権とは別の言葉でいえば軍事政権です。建武の新政という短い期間を例外として、日本ではこれが数百年も継続しましたが、こんなことは世界にもほとんど類例がありません。それはなぜだったのか。
少なくとも、誰かがそうしようと思ってそうなった(陰謀論)のではなく、そうならざるを得ない事情があったからそうなったと考えるべきでしょう。』草野真一 https://news.kodansha.co.jp/9106

2023-05-17

『鎌倉殿と執権北条氏』

最新研究の解説ということで読みました~!
面白かったです~!
伊豆の伊東家と北条家の関係とか、曽我物語の背景とか、要所要所でのさまざまな見解とか
八重姫伝説の件とか、2代頼家は「暗君」ではなかった、3代実朝も「傀儡」でもなく、 義時と不仲でもなかったと
唐船建造は宋との貿易が目的だった…など

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坂井孝一
『鎌倉殿と執権北条氏
義時はいかに朝廷を乗り越えたか』
(NHK出版、2021年

『伊豆の地方豪族だった北条氏は、いかに流人時代の頼朝と出会い、源平合戦、幕府草創期を経て、熾烈な権力闘争の末に承久の乱を制したのか。
源氏、朝廷側からだけでは見えてこない幕府内の駆け引きや争いの一部始終、複雑極まりない人間関係を、常にその中心にいた時政・政子・義時を軸に生き生きと描きだす。
鎌倉殿はなぜ北条氏を重用し続けたのか、宿老十三人による合議制の内実とは、
実朝暗殺事件の犯人と狙いは、なぜ義時は将軍にならなかったのか――。
第一人者が通説を検証し、この時代をめぐる疑問の数々に答える』
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000886612021.html

『「承久の乱」の坂井孝一氏の筆による三部作の3冊目。
旧著が後鳥羽院の視点で書かれたものに対し、本著は北条氏。中でも主に義時の視点で書かれている。
第一章第二章は、流人時代の頼朝やそれを巡る北条氏と伊東氏、伊豆国内における北条氏の立ち位置や北条氏と伊東氏の関係、伊東氏内部の争いや悪人とされた伊東祐親の人物像まで掘り下げてなかなか興味深い。』
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R11191PUZWGOMP/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4140886617

『承久の乱』(中公2018)『源氏将軍断絶』(PHP2020)に続く、坂井孝一氏の平安末期・鎌倉初期新書本
『承久の乱』は朝廷・源氏の視点、特に後鳥羽上皇の視点に重点を置いており、
『源氏将軍断絶』は源氏将軍の視点に重点を置いていた。
本書は北条氏、特に時政・政子・義時の視点から考察しており、三作合わせて三部作になる』

2022-11-21

『執権』

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細川重男『執権-北条氏と鎌倉幕府』
(講談社学術文庫)2019年
原本は、2011年3月『北条氏と鎌倉幕府』講談社選書メチエ

もうちょっと詳しく
読みました~!
面白かったです~!
出た時に興味があって、買って、一度は読み始めたのだけど、
ちょっと自分の予備知識がなさすぎて、途中で挫折してました。
でも今回、改めて読んだら、面白くてするするっと。

「承久の乱で仲恭天皇を廃位し後鳥羽・土御門・順徳の三上皇を配流(流刑)した「究極の朝敵」、第二代執権北条義時と、
蒙古帝国の侵略を撃退した「救国の英雄」第八代執権、北条時宗」

義時の描写と伝説が生まれた過程と時代の要求が大変面白い

「クソ親父!オレたちを騙して、ダチを殺させたな!」

「義時は追討宣旨を蒙りながら承久の乱に勝利した。
これは当時の王朝貴族にとってはあってはならない驚天動地の事態。
貴族たちは眼前の現実を受け入れるため、必死で先例を探したのではないだろうか。
追討宣旨を蒙って助かった先例
やっと見つけた先例が武内宿禰」

「天皇を倒した人物」は特別でなければならなかった
だから武内宿禰(義時)と神功皇后(政子)の化身、生まれ変わりである必要があった
しかも八幡神(源氏の氏神・関東の守護神)の神命によって(『古今著聞集』)
そして子孫の得宗家は「関東の武内宿禰」の直系で、
鎌倉将軍の後見の正統の家であるという鎌倉幕府支配の論理的根拠となるという

そして蒙古襲来を受けて立ち向かわなければならなかった時宗と周囲の壮絶な覚悟と戦い

なかなか感動的でした。

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