『千年医師物語』の映画が作られていたなんて!
でも色々と史実に反していて、設定や話は無茶苦茶らしい。
でも観たい~!
とはいえ、原作も
以前友人に教えてもらって,
気になってチェックしているのに
まだ読んでいないのですが…。
事実に反した映画「千年医師物語」 2015年4月15日
IRIBラジオ日本語
http://japanese.irib.ir/2011-02-19-09-52-07/%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%A0%E5%9B%9B%E6%96%B9%E5%B1%B1%E8%A9%B1/item/46573-%E4%BA%8B%E5%AE%9F%E3%81%AB%E5%8F%8D%E3%81%97%E3%81%9F%E6%98%A0%E7%94%BB%E3%80%8C%E5%8D%83%E5%B9%B4%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%80%8D
<この映画のロケーションは、ドイツのケルンとモロッコ
ブー・アリー・スィーナーの生涯に関してはフィクションであり、
この偉大な人物の名前や名声、住んでいた場所だけは正しいものの、
その内容の大部分は、この名医の生涯とは矛盾しています。>
Der Medicus 予告編 https://www.youtube.com/watch?v=7eZiRrPSBw0
2014/05/10 に公開
IMDb
http://www.imdb.com/title/tt2101473/
2014年 ドイツ映画 150分 日本語版なし
原作はドイツで500万部以上の売り上げを記録したアメリカの歴史小説。
ある医師の一族の1000年を描いたコール家三部作の最初の作品、
千年医師物語「ペルシアの彼方へ」の映画化。
<11世紀に母の死をきっかけに医師を目指した少年の物語。
この少年は人の死を感じ取れる特殊な能力を持っている。
映画は原作の設定をそのままにストーリーの一部を変更してる。
原作は大まかに分けてイングランドで医師権理髪師の弟子として過ごした時期と、
中東へ行きイブン・シーナの弟子として過ごした時期の二つに分かれていて、
両方の分量は大体同じくらいになってる。
映画では前半に1/3を費やし、残り2/3を後半に費やしている。
映画の売りの一つが、中世期のイスラーム世界とキリスト教世界で名高い医師、
イブン・シーナ(西洋ではアヴィセンナ)が関わる物語ってところだから当然の処置なんだろう。
原作ではエピローグで次の物語への繋ぎに当たる
最後のロンドンでの話は省略されてる。
代わりに別のシーンを入れてロンドンへ帰ったことが暗示される。
原作も映画も、簡単に言うと母の死の原因になった病気を探せって話。
病名は虫垂炎。
当時はキリスト教世界でも、イスラーム教世界でも
宗教的な理由により死人の解剖が制限されていたために分からなかった病気だ。
後半のイスファハンについてからの物語が大きく変更され、
王や宗教団体、敵対勢力などの政治的な部分が主要な形になるよう変更された感じだ。
キリスト教世界でも、イスラーム教世界でも、
当時の医者が一歩間違うと魔術師などと糾弾されるさまが
原作よりも分かりやすくクローズアップされてる。
最後の宗教団体が イブン・シーナの学校兼病院を焼き討ちする部分や、
イングランドで理髪師が修道僧から魔法使いだのと非難される部分とか。
クライマックスは宿敵、虫垂炎との戦いのシーン。
主人公は禁を犯して死体を解剖して得た知見を活用して手術を行う。
原作にはないシーンだけど、
映画のクライマックスなんだから宿敵を倒さないとしょうがないってことなんだろう。
原作では歴史上の人物はイブン・シーナくらいで他は架空の人物。
王などは実在の人物の名を使ってるけど、
実際何をしてたのかわからないから空想で描いたそうだ。
当然映画の描く歴史絵巻の部分もフィクションってこと。
ちなみにイブン・シーナは胃癌で死んだといわれてる。
原作や映画の描くような厳格な感じの人物ではなく、
酒と女や音楽を愛する享楽の人で、性の豪傑として知られてたそうだ。
死ぬ寸前まで豪傑振りを示し続けてる。
イブン・シーナの医療の著作にも性に関する部分は多い。
簡単に言うと慎む必要はないけど、やり過ぎないようにってことのよう。
映画は原作のダイジェストではなく
原作をベースにした別物語って見たほうがいいと思う。
個人的には原作も、映画もかなり面白かった。>
参考文献
ノア ゴードン ペルシアの彼方へ〈上〉―千年医師物語1 角川文庫 2001
ペルシアの彼方へ〈下〉―千年医師物語1
Noah Gordon The Physician (The Cole Trilogy)
<舞台は11世紀。ロンドンで生まれ、幼くして孤児になった少年ロブ・J・コールは、
病人の死期を感じとる不思議な能力に気づき、医師となるべく運命を感じて、
遥か彼方の異郷の地ペルシャを目指す……。>
アヴィセンナ「医学の歌」 草風館 1998
Avicenna
al-Urguza fi at-tibb
Avicenne poème de la médecine
Cantica medica Avicenna
イスラム社会で崇められてきたユーナニ医学の聖医・アヴィセンナの「医学の歌」を本邦初訳。
医学・医術の精髄であり、珠玉の詩でもある、中世から近世の医学教程書に、
最新研究内容を反映させた詳細解説を付す。アヴィセンナ『医学典範』日本語訳 第三書館 2010
Avicenna
al-Qānūn fī al-Ṭibb、
The Canon of Medicine
イスラーム医学の理論と臨床的知見を集大成した大著の日本語訳。
1000年前の知の最先端かつ最高峰が現代に蘇る。 以前、原作を紹介したページはこちら
10/03/10 ペルシアの彼方へ