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2020-12-04

気になる本のメモ

死者のゆくえ 佐藤 弘夫
岩田書院 2008年

「私はこの本において、そうした既往の研究の伝統と成果を踏まえながら、改めて日本列島において死がどのように取り扱われてきたかを考えてみたいと思っている。その際、著名な思想家を取り上げてその人物の死生観を再構成したり、死を論じた各時代を代表する著作を羅列したりするといった方法はとらない。本書が目指すものは、特定の知識人の死生観ではない。それぞれの時代の人々が共有していた、死に関わる観念の解明である。
 この列島に住む大方の人間が、死をいかなるものとして捉えていたのか、死者をどのような存在とみていたのか、それが時代とともにいかに変化していったのかという問題を、世界観のレベルで総体として明らかにしていくことである。体系化された頂点思想としての死生観は、そうした時代思想のなかに位置づけて、はじめてその意義を理解することが可能になると考えられる。」                  (本書「序章」より)
http://www.iwata-shoin.co.jp/bookdata/ISBN978-4-87294-500-3.htm

佐藤弘夫著『死者のゆくえ』
評者:関沢まゆみ
「宗教研究」361(2009.8)
 本書は、日本思想史を専門とする著者が、死をめぐる観念の変化について古代から中世、近世そして近代へと通史的な追跡を試みたものである。構成は、序章「死の精神史へ-方法と視座-」、第一章「風葬の光景」、第二章「カミとなる死者」、第三章「納骨する人々」、第四章「拡散する霊場」、第五章「打ち割られた板碑」、終章「死の精神史から」、からなっている。読後の率直な感想は二つの相反するものであった。
 第一は、著者の専門分野と思われる中世の納骨信仰をめぐる考察の精密さに対する高い評価である。たとえば、第三章の十二世紀以降の納骨信仰の流行についての論考で、浄土往生を希求した人々にとって「垂迹」への結縁こそが重要であり、その垂迩は従来の本地垂迹説の説くような日本の神々だけでなく、聖徳太子や伝教大師、弘法大師などの聖人や祖師、また仏舎利や法舎利をも含む幅広いものであり、そのような視点から納骨の場としての霊山霊場の形成や経塚の流行をも視野に入れた中世の納骨信仰の展開世界を解明している点はたいへん貴重な研究成果であるといってよい。
 一方、第二には、逆に先行研究への誤読や見落としがあることも否定できなかった。たとえば、誤読の例を二つあげてみるならば、序章での柳田國男への誤読である。
柳田國男の民俗学は決して「日本固有の」文化や観念の解明をめざすものなどではなく何よりも生活の変遷史、その過程を明らかにしようとする広義の歴史学であった。
葬送をめぐる死者の遺骨と霊魂の両者に対してともに高い関心を抱いていたのは明らかである。柳田は死者の遺骸と霊魂という両者に対する意識と行為の変遷史を民俗の伝承の中に探ろうとしていたのである。

「遺骨に対してまったく関心を払うことがなく、遺骸を放置して顧みなかった古代の人々」(一九頁)などと述べている点である。それはあくまでも九世紀後半から十世紀にかけての古代国家の転換期を経て平安貴族の触穢思想が歴史的に形成されてきた当時の状況に限ってのことであり、「古代の人々」の葬制墓制をそのように一まとめに決めつけるのは学史的に問題があろう。

葬制墓制の歴史からいえば、古墳時代だけでなく、縄文、弥生時代の葬墓制研究の知見も拡大してきている(本書刊行と同年に設楽博巳『弥生再葬墓と社会』塙書房、二〇〇八年、山田康弘『人骨出土例にみる縄文の墓制と社会』同成社、二〇〇八年などが続々と刊行されている)。また、文献史料の上からも八世紀から九世紀中葉頃までは各地の有力層の間では墳墓の側に蘆を結んで守り亡霊を追憶する風が根強くみられたことを示す記事が六国史には散見される。

七世紀以降の殯など旧俗の廃絶、縄文以来の火葬の変遷史、七世紀から八世紀の墓碑の流行、仏教の葬送関与の上での八世紀と十世紀の大きな相違、等々、古代から中世への葬送墓制の大きな変遷についての通史的整理はすでに試みられており(新谷尚紀『生と死の民俗史』木耳社、一九八六年、『日本人の葬儀』紀伊国屋書店、一九九一年)
http://www.iwata-shoin.co.jp/shohyo/sho958.htm



文明の交差点の地政学――トルコ革新外交のグランドプラン
アフメト・ダウトオウル (著),
内藤正典解説 (その他), 中田考監訳 (翻訳)
書肆心水 (2020/11/20)

ダウトオウルの伝説的の地政学の大著『戦略的縦深性』が中田考監訳で『文明の交差点の地政学――トルコ革新外交のグランドプラン』として刊行。言及されるけど英訳がなく、バルカン半島やイランでのみ翻訳があるというのが何かを物語る、新オスマン主義の世界戦略
https://amzn.to/3kk8n7y @amazon
より
https://twitter.com/chutoislam/status/1318521436802215936

池内恵氏推薦――「知る人ぞ知るまぼろしの地政学の名著、待望の全訳が現れた。その存在を広く知られながら、主要欧米語の翻訳がなかった大著、新オスマン主義の世界戦略の書が今“蘇った"。トルコの外相・首相を歴任した文明思想家ダウトオウルが国際政治史のパワーセンター・イスタンブールを主軸に構想する、もう一つの世界帝国がもたらす新しい秩序だ。」

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