2023-09-11
リチャード・バートン
リチャード・フランシス・バートンについて

藤野幸雄
『探検家リチャード・バートン』 新潮社〈新潮選書〉、1985年
「19世紀の英国人探検家リチャード・バートンは、中東、アフリカ、インド、南米など世界各地に足跡を残しただけでなく、36か国語を操り、「アラビアン・ナイト」なども翻訳した。彼の残した膨大な著作は、さまざまな民族の風習、生活ぶりを詳細に伝え、当時の探検家の中では群を抜いている。近年になってその文化人類学的評価は高まっている。
ただし、彼の型破りの言動は、たくさんの敵をつくった。アラブの一夫多妻制への理解や、好色文学への傾倒など、キリスト教道徳が席巻していたイギリスでは、とうてい受け入れられるものではなかった。
バートン自身、西欧社会の偽善的な装いへの反発を、著述の中でしばしばあからさまにしている。
彼の死後、バートンの伝記を著したのが、ゴチゴチのキリス教徒の妻だった。彼が死ぬと急きょ、洗礼を受けさせ、カトリック信者にまつりあげた。
彼女は長大なバートン伝を完成させると、彼が残した膨大な「いかがわしい」原稿や日記を焼き捨てた。
その数年後、バートンの妹の娘が新たに伝記を出版、妻版伝記とは対極にあるバートン像を描き出した。
今でも、バートンの人物像は、妻版と姪版の間で揺れ動いているのだそうだ。
この本は学者の手によるだけに正確を期したのだろう。両伝記からの引用などが多く、ドラマのような英雄伝に比べると、はじめは読みやすいとは言い難かったが、読み進めるに従って、バートンという稀代の探検家の魅力が伝わってくる。 」
『屯田兵の末裔が行く』 2013年2月25日
https://paraunawa.wordpress.com/2013/02/25/%E8%97%A4%E9%87%8E%E5%B9%B8%E9%9B%84%E8%91%97%E3%80%8C%E6%8E%A2%E6%A4%9C%E5%AE%B6%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3%E3%80%8D/
「千夜一夜物語の訳者としてのバートンだけでなく、今は忘れ去られた、ナイル河の源流探索者、
当時異教徒に対して、厳格な鎖国主義をとっていたメッカから生還した数少ない白人等の経験を持つ冒険者、探検家としてのバートンや未開地だった南米、アフリカ諸国の領事としてのバートンが描かれる。」
http://tanizoko2.hp.infoseek.co.jp/burton.html
「『アラビアン・ナイト』の翻訳者リチャード・バートンは19世紀最大の探検家であったが、イギリスはついにこの男を受入れるすべを知らなかった。彼は36の言語を操り、足跡は全世界にわたり、多くの民族と風習を百冊に及ぶ著書に記している。ヴィクトリア朝のモラルを体現していた妻イサベルは、夫の死後「いかがわしい」すべての遺稿と日記を灰にしたが、この人物の魅力はその後の伝記を通じて不死鳥のように蘇ってくる。」
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784106003110
藤野幸雄 1931 - 2014
日本の図書館学者。

トマス・ジョゼフ・アサド
『アラブに憑かれた男たち バートン、ブラント、ダウティ』 田隅恒生訳 法政大学出版局、2001年
Thomas Joseph Assad,Three Victorian travellers : Burton, Blunt, Doughty
「大英帝国の全盛期、エクセントリックな個性をもってアラビアと関わった3人の男、バートン、ブラント、ダウティ。その意識と思考と生涯を縦横に分析する。「アラビアのロレンス」に先立つ3つの心性の研究。」
「著者はアラブ系アメリカ人の大学教授で、英文学を専門とする。本書は"Three Victorian Traveller"(1964年)の翻訳です。表題にあるとおり3人のヴィクトリア朝時代のイギリス人の評伝、人物論でした。
これらの人々はアラビア探検の先駆者であり、イギリスにおけるアラブ研究を大いに進め、「アラビアのロレンス」こと、T・E・ロレンスの出現を可能にしました。
しかし、大英帝国に対する態度やアラブ世界への理解は三者三様で、どれも間違っているとは言いにくいところが面白い。
著者の意図も、そうしたアラブがイギリス人に与えた感性への衝撃を、また「オリエンタリズム」の一筋縄でいかない多様性を描くことにありました。
リチャード・フランシス・バートンは、「千夜一夜物語」の翻訳者・解説者として知られます。大場正史の翻訳で角川文庫21冊のなかで見られるバートンの注釈は、マニアックかつ好色なために発表された当時から不評だったのです。
残る2人、ウィルフリド・スコーエン・ブラント、チャールズ・モンタギュー・ダウティは、バートンと同じくアラビア学の古典ともいえる旅行記や研究を発表しているのですが邦訳はなく、その生涯も日本ではあまりに知られていません。
その人生も見解もロマンチックというか、劇的というか。原注もふくめて読まれる価値があります。巻末に索引と年譜あり。」
アマゾンカスタマーレビュー 醒文庵さん
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/RUU7ZHO9XRSST/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4588238043
いやいや、邦訳ありますよね。
ダウディは『アラビア・デセルタ』(砂漠のアラビア)の著者。
Travels in Arabia Deserta (1888)
(『アラビア砂漠』-世界ノンフィクション全集 第45巻 筑摩書房1968 に収録 )
2012-09-21 ウィルフリドとレディ・アン
2012-09-25 『アラビア砂漠』
W・S・ブラント
『ハルツームのゴードン 同時代人の証言』栗田禎子訳、シリーズ冒険の世界史:リブロポート、1983年
2012-09-20 ハルツームのゴードン
チューリップ狂時代 ウィルフリッド・ブラント
『チューリップ・ブック―イスラームからオランダへ、人々を魅了した花の文化史 』八坂書房 (2002/02)
2012-07-11 チューリップ

秘境アラビア探検史 〈下巻〉
キールナン,R.H./岩永 博【訳】 りぶらりあ選書 法政大学出版局1994
Kiernan, Reginald Hugh, The unveiling of Arabia
「本巻では『アラビアン・ナイツ』の翻訳で知られるリチャード・バートンのメッカ、メディナ旅行を皮切りに、ウェルステッド、マイルス大佐、ウレーデ、ベントの旅、サドリアー大尉、ワリン、ペリー大佐、ダウティ、ブラント夫妻の旅、さらには20世紀の探検家たちの旅をあとづけ、トマスやフィルビーの空白地帯(南部大砂漠)横断の旅におよぶ、アラビアの古代史発掘からローレンスとアラブの反乱の調査まで、探検の物語を通して描くアラビアの数奇なる歴史。」
BOOK」データベース
https://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-02158-9.html

藤野幸雄
『探検家リチャード・バートン』 新潮社〈新潮選書〉、1985年
「19世紀の英国人探検家リチャード・バートンは、中東、アフリカ、インド、南米など世界各地に足跡を残しただけでなく、36か国語を操り、「アラビアン・ナイト」なども翻訳した。彼の残した膨大な著作は、さまざまな民族の風習、生活ぶりを詳細に伝え、当時の探検家の中では群を抜いている。近年になってその文化人類学的評価は高まっている。
ただし、彼の型破りの言動は、たくさんの敵をつくった。アラブの一夫多妻制への理解や、好色文学への傾倒など、キリスト教道徳が席巻していたイギリスでは、とうてい受け入れられるものではなかった。
バートン自身、西欧社会の偽善的な装いへの反発を、著述の中でしばしばあからさまにしている。
彼の死後、バートンの伝記を著したのが、ゴチゴチのキリス教徒の妻だった。彼が死ぬと急きょ、洗礼を受けさせ、カトリック信者にまつりあげた。
彼女は長大なバートン伝を完成させると、彼が残した膨大な「いかがわしい」原稿や日記を焼き捨てた。
その数年後、バートンの妹の娘が新たに伝記を出版、妻版伝記とは対極にあるバートン像を描き出した。
今でも、バートンの人物像は、妻版と姪版の間で揺れ動いているのだそうだ。
この本は学者の手によるだけに正確を期したのだろう。両伝記からの引用などが多く、ドラマのような英雄伝に比べると、はじめは読みやすいとは言い難かったが、読み進めるに従って、バートンという稀代の探検家の魅力が伝わってくる。 」
『屯田兵の末裔が行く』 2013年2月25日
https://paraunawa.wordpress.com/2013/02/25/%E8%97%A4%E9%87%8E%E5%B9%B8%E9%9B%84%E8%91%97%E3%80%8C%E6%8E%A2%E6%A4%9C%E5%AE%B6%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3%E3%80%8D/
「千夜一夜物語の訳者としてのバートンだけでなく、今は忘れ去られた、ナイル河の源流探索者、
当時異教徒に対して、厳格な鎖国主義をとっていたメッカから生還した数少ない白人等の経験を持つ冒険者、探検家としてのバートンや未開地だった南米、アフリカ諸国の領事としてのバートンが描かれる。」
http://tanizoko2.hp.infoseek.co.jp/burton.html
「『アラビアン・ナイト』の翻訳者リチャード・バートンは19世紀最大の探検家であったが、イギリスはついにこの男を受入れるすべを知らなかった。彼は36の言語を操り、足跡は全世界にわたり、多くの民族と風習を百冊に及ぶ著書に記している。ヴィクトリア朝のモラルを体現していた妻イサベルは、夫の死後「いかがわしい」すべての遺稿と日記を灰にしたが、この人物の魅力はその後の伝記を通じて不死鳥のように蘇ってくる。」
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784106003110
藤野幸雄 1931 - 2014
日本の図書館学者。

トマス・ジョゼフ・アサド
『アラブに憑かれた男たち バートン、ブラント、ダウティ』 田隅恒生訳 法政大学出版局、2001年
Thomas Joseph Assad,Three Victorian travellers : Burton, Blunt, Doughty
「大英帝国の全盛期、エクセントリックな個性をもってアラビアと関わった3人の男、バートン、ブラント、ダウティ。その意識と思考と生涯を縦横に分析する。「アラビアのロレンス」に先立つ3つの心性の研究。」
「著者はアラブ系アメリカ人の大学教授で、英文学を専門とする。本書は"Three Victorian Traveller"(1964年)の翻訳です。表題にあるとおり3人のヴィクトリア朝時代のイギリス人の評伝、人物論でした。
これらの人々はアラビア探検の先駆者であり、イギリスにおけるアラブ研究を大いに進め、「アラビアのロレンス」こと、T・E・ロレンスの出現を可能にしました。
しかし、大英帝国に対する態度やアラブ世界への理解は三者三様で、どれも間違っているとは言いにくいところが面白い。
著者の意図も、そうしたアラブがイギリス人に与えた感性への衝撃を、また「オリエンタリズム」の一筋縄でいかない多様性を描くことにありました。
リチャード・フランシス・バートンは、「千夜一夜物語」の翻訳者・解説者として知られます。大場正史の翻訳で角川文庫21冊のなかで見られるバートンの注釈は、マニアックかつ好色なために発表された当時から不評だったのです。
残る2人、ウィルフリド・スコーエン・ブラント、チャールズ・モンタギュー・ダウティは、バートンと同じくアラビア学の古典ともいえる旅行記や研究を発表しているのですが邦訳はなく、その生涯も日本ではあまりに知られていません。
その人生も見解もロマンチックというか、劇的というか。原注もふくめて読まれる価値があります。巻末に索引と年譜あり。」
アマゾンカスタマーレビュー 醒文庵さん
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/RUU7ZHO9XRSST/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4588238043
いやいや、邦訳ありますよね。
ダウディは『アラビア・デセルタ』(砂漠のアラビア)の著者。
Travels in Arabia Deserta (1888)
(『アラビア砂漠』-世界ノンフィクション全集 第45巻 筑摩書房1968 に収録 )
2012-09-21 ウィルフリドとレディ・アン
2012-09-25 『アラビア砂漠』
W・S・ブラント
『ハルツームのゴードン 同時代人の証言』栗田禎子訳、シリーズ冒険の世界史:リブロポート、1983年
2012-09-20 ハルツームのゴードン
チューリップ狂時代 ウィルフリッド・ブラント
『チューリップ・ブック―イスラームからオランダへ、人々を魅了した花の文化史 』八坂書房 (2002/02)
2012-07-11 チューリップ

秘境アラビア探検史 〈下巻〉
キールナン,R.H./岩永 博【訳】 りぶらりあ選書 法政大学出版局1994
Kiernan, Reginald Hugh, The unveiling of Arabia
「本巻では『アラビアン・ナイツ』の翻訳で知られるリチャード・バートンのメッカ、メディナ旅行を皮切りに、ウェルステッド、マイルス大佐、ウレーデ、ベントの旅、サドリアー大尉、ワリン、ペリー大佐、ダウティ、ブラント夫妻の旅、さらには20世紀の探検家たちの旅をあとづけ、トマスやフィルビーの空白地帯(南部大砂漠)横断の旅におよぶ、アラビアの古代史発掘からローレンスとアラブの反乱の調査まで、探検の物語を通して描くアラビアの数奇なる歴史。」
BOOK」データベース
https://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-02158-9.html
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