2013-09-09
ズービン・メータ氏 カシミールで指揮
メータ氏のコンサートを批判する分離・独立派 過激派の脅迫も
産経新聞 9月7日(土)14時6分配信
ズービン・メータ氏(写真:産経新聞)
インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方のインド支配地域で行われるコンサートにイスラム教徒の分離・独立派組織などが反発し、論議を呼んでいる。指揮をするのは、インド出身の世界的指揮者で高松宮殿下記念世界文化賞受賞者のズービン・メータ氏(77)。ヒンズー教徒とイスラム教徒住民による衝突や印パの交戦が続くこの地域に「平和の時間を届けたい」との思いで初めてカシミールの指揮台に立つが、コンサートは過激派の襲撃予告にも脅かされている。
■「平和を届けたい」
コンサートは7日、インド北部ジャム・カシミール州の州都スリナガルで行われる。メータ氏はドイツのバイエルン国立管弦楽団を指揮し、ベートーベン、ハイドン、チャイコフスキーの曲を演奏する。在印ドイツ大使館が主催し、約1500人が招待された。ミハエル・スタイナー大使(63)は声明で「音楽は万人に共通の言語だ。その不思議な力で地理的、政治的、文化的境界を越えてカシミールの人々の心に希望と励みを届けたい」と述べた。
コンサートの模様は、インドと欧州のテレビでもライブ放送される。メータ氏は1998年から2006年までバイエルン国立管弦楽団の音楽監督を務めた。昨年7月、ドイツ政府の勲章をスタイナー大使から授けられた際、カシミール地方でコンサートをしたいと表明し、ドイツ政府が協力することになったという。
メータ氏はインド誌アウトルックの取材に「ヒンズー教徒とイスラム教徒がたとえ象徴的であったとしても1時間半、一緒になって音楽を聴けば、コンサートは平和をもたらすことができるのではないか。物理的に変えられるものはわからないが、精神的には人々に平和を届けることができるだろう」と述べた。
■ストを呼びかける分離派
一方で、ジャム・カシミール州では、さまざまなイスラム教分離・独立派組織が活動している。このうち、州のパキスタンへの統合を訴える強硬派のサイード・アリ・ギラニ氏(83)率いる「自由協議会」は声明で「カシミールの人々は、痛みや苦しみを理解し和らげようとする真剣な努力がなされていないことに心から不満を持っている」と計画の再考を迫り、「カシミール地方は領土紛争地であり、いかなる政治的、外交的、文化的活動も情勢に影響を与える」としている。
インド政府により、自宅軟禁下に置かれているギラニ氏は2日、コンサート前日の6日にイスラム教の礼拝後の抗議デモを行い、7日にストライキに参加するよう市民に呼びかけた。
ギラニ氏はまた、コンサートを「イスラエルの主張を宣伝するものだ」と述べている。別の強硬派女性組織も「イスラエル、インド、アメリカの悪の枢軸によるものだ」と非難する。米国の永住市民権を持つメータ氏は、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団を長年指揮して終身音楽監督に就任しており、分離・独立派はメータ氏を敵視しているとみられる。
■国民は圧倒的に支持
こうした中、カシミール地方でインド軍に殺害されたり、暴力を受けた市民を擁護する人権団体「ジャム・カシミール市民会議連合」は、メータ氏のコンサートに対抗して同じ日に別のコンサートを行うことを計画した。代表のクラム・パラバイズ氏は「メータ氏を個人攻撃しているわけではないが、ドイツ政府はインド軍と協力してコンサートをしようとしており、コンサートはインドによるカシミール地方の支配を正当化することになる」とし、「多くのメディアが取材に来る機会をとらえ、自分たちでコンサートを開き、カシミールの現状を訴えたい」と話した。
ただしインドでは、東日本大震災直後の日本でも被災者を勇気づけるコンサートを行ったメータ氏を支持する意見が圧倒的だ。
2日付のヒンドゥスタン・タイムズ紙は社説で、「分離・独立派は支持を得るための大義が尽きてしまったか、懸命に正統性を維持しようとしているかのどちらかだ」と批判した。無名のイスラム過激派がコンサートの妨害を予告しており、社説は、州政府にコンサートを無事行えるよう対応を求めた。
カシミール地方のライジング・カシミール紙も「コンサートはジャム・カシミール州の観光を再生させることができる」と訴えている。
(いわた・ともお ニューデリー支局)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130907-00000538-san-asia
メータ氏、カシミールで指揮=過激派警告で厳戒―インド
時事通信 9月8日(日)6時49分配信
【スリナガル(インド)AFP=時事】インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方のインド側支配地域で7日、同国出身の世界的指揮者ズービン・メータ氏(77)が指揮するドイツ・バイエルン国立管弦楽団のコンサートが開かれた。イスラム過激派のテロが相次ぐカシミール地方の平和を願う趣旨で、地元当局とドイツ大使館が主催。政府関係者や外交団約1500人がベートーベンやハイドンなどの音色に酔いしれた。
コンサートは中心都市スリナガルの湖畔に位置するムガル帝国時代の庭園が舞台。過激派による攻撃予告も出される中、厳重な警備を敷いて開催に踏み切った。メータ氏は「ここ(カシミール)でこそ開かれるべきもの。この瞬間を待ち望んでいた」と聴衆に語り掛けた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130908-00000019-jij-asia
ちなみにメータはパールシー(ゾロアスター教徒)の家系:
春田晴郎
https://twitter.com/HarutaSeiro/status/376317767105794048
春田晴郎 @HarutaSeiro 15時間
アルジャジーラ見るとけっこう大ごとなんだよな、メータのコンサート: Why do Kashmiris oppose a Bavarian concert? http://aje.me/18ItJib @AJEnglishさんから
Al Jazeera English
Why do Kashmiris oppose a Bavarian concert?
Some in this restive region view the event as a propaganda tool for India to whitewash alleged abuses.
http://www.aljazeera.com/indepth/features/2013/09/20139613437173403.html
産経新聞 9月7日(土)14時6分配信
ズービン・メータ氏(写真:産経新聞)
インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方のインド支配地域で行われるコンサートにイスラム教徒の分離・独立派組織などが反発し、論議を呼んでいる。指揮をするのは、インド出身の世界的指揮者で高松宮殿下記念世界文化賞受賞者のズービン・メータ氏(77)。ヒンズー教徒とイスラム教徒住民による衝突や印パの交戦が続くこの地域に「平和の時間を届けたい」との思いで初めてカシミールの指揮台に立つが、コンサートは過激派の襲撃予告にも脅かされている。
■「平和を届けたい」
コンサートは7日、インド北部ジャム・カシミール州の州都スリナガルで行われる。メータ氏はドイツのバイエルン国立管弦楽団を指揮し、ベートーベン、ハイドン、チャイコフスキーの曲を演奏する。在印ドイツ大使館が主催し、約1500人が招待された。ミハエル・スタイナー大使(63)は声明で「音楽は万人に共通の言語だ。その不思議な力で地理的、政治的、文化的境界を越えてカシミールの人々の心に希望と励みを届けたい」と述べた。
コンサートの模様は、インドと欧州のテレビでもライブ放送される。メータ氏は1998年から2006年までバイエルン国立管弦楽団の音楽監督を務めた。昨年7月、ドイツ政府の勲章をスタイナー大使から授けられた際、カシミール地方でコンサートをしたいと表明し、ドイツ政府が協力することになったという。
メータ氏はインド誌アウトルックの取材に「ヒンズー教徒とイスラム教徒がたとえ象徴的であったとしても1時間半、一緒になって音楽を聴けば、コンサートは平和をもたらすことができるのではないか。物理的に変えられるものはわからないが、精神的には人々に平和を届けることができるだろう」と述べた。
■ストを呼びかける分離派
一方で、ジャム・カシミール州では、さまざまなイスラム教分離・独立派組織が活動している。このうち、州のパキスタンへの統合を訴える強硬派のサイード・アリ・ギラニ氏(83)率いる「自由協議会」は声明で「カシミールの人々は、痛みや苦しみを理解し和らげようとする真剣な努力がなされていないことに心から不満を持っている」と計画の再考を迫り、「カシミール地方は領土紛争地であり、いかなる政治的、外交的、文化的活動も情勢に影響を与える」としている。
インド政府により、自宅軟禁下に置かれているギラニ氏は2日、コンサート前日の6日にイスラム教の礼拝後の抗議デモを行い、7日にストライキに参加するよう市民に呼びかけた。
ギラニ氏はまた、コンサートを「イスラエルの主張を宣伝するものだ」と述べている。別の強硬派女性組織も「イスラエル、インド、アメリカの悪の枢軸によるものだ」と非難する。米国の永住市民権を持つメータ氏は、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団を長年指揮して終身音楽監督に就任しており、分離・独立派はメータ氏を敵視しているとみられる。
■国民は圧倒的に支持
こうした中、カシミール地方でインド軍に殺害されたり、暴力を受けた市民を擁護する人権団体「ジャム・カシミール市民会議連合」は、メータ氏のコンサートに対抗して同じ日に別のコンサートを行うことを計画した。代表のクラム・パラバイズ氏は「メータ氏を個人攻撃しているわけではないが、ドイツ政府はインド軍と協力してコンサートをしようとしており、コンサートはインドによるカシミール地方の支配を正当化することになる」とし、「多くのメディアが取材に来る機会をとらえ、自分たちでコンサートを開き、カシミールの現状を訴えたい」と話した。
ただしインドでは、東日本大震災直後の日本でも被災者を勇気づけるコンサートを行ったメータ氏を支持する意見が圧倒的だ。
2日付のヒンドゥスタン・タイムズ紙は社説で、「分離・独立派は支持を得るための大義が尽きてしまったか、懸命に正統性を維持しようとしているかのどちらかだ」と批判した。無名のイスラム過激派がコンサートの妨害を予告しており、社説は、州政府にコンサートを無事行えるよう対応を求めた。
カシミール地方のライジング・カシミール紙も「コンサートはジャム・カシミール州の観光を再生させることができる」と訴えている。
(いわた・ともお ニューデリー支局)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130907-00000538-san-asia
メータ氏、カシミールで指揮=過激派警告で厳戒―インド
時事通信 9月8日(日)6時49分配信
【スリナガル(インド)AFP=時事】インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方のインド側支配地域で7日、同国出身の世界的指揮者ズービン・メータ氏(77)が指揮するドイツ・バイエルン国立管弦楽団のコンサートが開かれた。イスラム過激派のテロが相次ぐカシミール地方の平和を願う趣旨で、地元当局とドイツ大使館が主催。政府関係者や外交団約1500人がベートーベンやハイドンなどの音色に酔いしれた。
コンサートは中心都市スリナガルの湖畔に位置するムガル帝国時代の庭園が舞台。過激派による攻撃予告も出される中、厳重な警備を敷いて開催に踏み切った。メータ氏は「ここ(カシミール)でこそ開かれるべきもの。この瞬間を待ち望んでいた」と聴衆に語り掛けた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130908-00000019-jij-asia
ちなみにメータはパールシー(ゾロアスター教徒)の家系:
春田晴郎
https://twitter.com/HarutaSeiro/status/376317767105794048
春田晴郎 @HarutaSeiro 15時間
アルジャジーラ見るとけっこう大ごとなんだよな、メータのコンサート: Why do Kashmiris oppose a Bavarian concert? http://aje.me/18ItJib @AJEnglishさんから
Al Jazeera English
Why do Kashmiris oppose a Bavarian concert?
Some in this restive region view the event as a propaganda tool for India to whitewash alleged abuses.
http://www.aljazeera.com/indepth/features/2013/09/20139613437173403.html
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