2015-10-14
気になる歴史本
アマゾンレビューより、
本の好みがわりとツボどころのsolaris1さんのレビューより

アフガニスタンの歴史と文化 (世界歴史叢書)
ヴィレム フォーヘルサング著/前田 耕作/山内 和也【監訳】
明石書店 2005
The Afghans
Willem Vogelsang,
<これまで、アフガニスタンと呼ばれる地域の歴史は、
非常に中途半端に扱われてきたといえる。
特に本書を見てから、その思いを強くした。
従来出版された「アフガニスタンの歴史」とは、古代中世が極端に少なく、
事実上近代以降の、アフガン人国家誕生以降を描いたものに限られていた、といえる。
また、古代中世に関しては、アフガニスタンを発祥とする国家が殆どなく、
この地域は、古代中国の司馬遷において
「高附は、大夏、安息、印度のいづれかが取る」と記載されていたように、
その後の歴史も、殆どイラン、インド、中央アジア勢力のいづれかが支配した。
アフガニスタンに拠点を持つに至った勢力も、
発祥は別の土地だったりしたため、
この地域の歴史は、どうしても、支配した帝国全体の歴史として語られてしまい、
「じゃあ、その帝国の支配時代、アフガニスタン地域はどうだったのか」が、
わからないのが普通だったとさえ言えよう。
本書は、そうした歴史の隙間を埋めるがごとく、
当地域を通過した民族すべてが、当地域で何をしたか、に言及してゆく。
アケメネス朝に始まって、マウリヤ朝やサカ人、パルティアやササン朝、
イスラームの到来や、モンゴル時代やティムール時代まで、
殆ど言及されたことのない時代についても、詳細に、殆ど等分量で記載してゆく。
通常の歴史本が、クシャン朝や、グレコ・バクトリア王国、
ガズナ朝やバーブルなどに重点を置き勝ちな点と比べると、これは驚くべきことである。
このような次第だから、アフガン人の建国には350ページにならないとたどり着かない。
その代わり、建国以降は150ページくらいだが、索引参考文献、註を含めて770ページを超え
る大部の書となっている。>
solaris1
http://www.amazon.co.jp/gp/cdp/member-
reviews/A2HG0396FYHEWC/ref=pdp_new_read_full_review_link?
ie=UTF8&page=24&sort_by=MostRecentReview#R3RCH3NOKHGIKI

十三世紀の西方見聞録 (新潮選書)
那谷 敏郎著
新潮社 1993
<マルコ・ポーロやルブルク、イブン・バットゥータなど、
西方から東方への旅行者とは反対に、
東方から西方への旅行者を扱った書籍です。
実際に旅行したのか定かでない、伝聞や山師の言い伝えの断片などを調査したものなのかもと、
期待してなかったのですが、非常に有益な内容だとわかりました。
特に下記の2面で有益です。
1.ネストリウス派歴史書として。
宗教専門書以外で、ネストリウス派の活動と歴史、
その勃興から衰退まで簡単わかる書籍は日本では他に思い当たりません。
山本由美子の「マニ教とゾロアスター教」の
ネストリウス派版程度の内容を期待してもよいかと思います。
2.イル汗国の歴史書として。
日本の書籍では、通常イル汗国に言及していても、
モンゴル帝国や、イラン史の一部として扱われ、中途半端な感じで、
読者も他の時代に注意がいってしまう、
或いは、歴史像がつかみづらい傾向があるかと思います。
本書は、西方へ派遣された2人のネストリウス派僧の一人が、
ネストリウス派の総主教に就任する為に、
イル汗国の国王・有力者と密接に結びつき、
第2代のアガバ汗から
衰退にいたるウジャーイートゥーイル汗の時代(1265~1316)の
国情を知ることができ、イル汗国歴史書としても有用です。
ネストリウス派を軸とすることで、
当時の中近東が、キリスト教世界、マムルーク朝、イル汗国の
3国時代の様相を呈している状況が明確になり、
ネストリウス派はこの時代の時代像を把握する
一つの糸口として有効なのだと思いました。
歴史のあちこちに断片的に現れるネストリウス派について、
統一した歴史像を知ることができ、
更に元の大都近郊で育ったネストリウス派の僧が、
ローマやフランスにまで至り、時のイングランド王に面会したり、
ローマで枢機卿と宗教論争までしていたとは知りませんでした。>
[「BOOK」データベース
十字軍遠征をめぐり、イギリス、フランスなどの西欧キリスト教勢力と
イスラム教勢力がしのぎをけずっていた十三世紀―。
聖地巡礼とローマ教皇拝掲をひたすらに願った景教僧の旅は、
否応なく国際情勢の渦に呑み込まれていった…。
景教の分かり易い解説をはじめ、
当時の中央アジア、ヨーロッパ諸国の情況をやさしく丁寧にひもときながら、
彼らの劇的な人生とダイナミックな歴史のドラマを描き出す。
西欧近代中人の視点ではない、新しいアングルから世界史に迫る歴史ロマン。
カスタマーレビュー
モンゴルがユーラシア大陸の大半を征服・支配していた13世紀に、
元の大都(北京)を出発した二人のネストリオス派キリスト教徒が、
シルクロードを踏破して西方世界にいたる雄大な旅物語です。
この二人のウイグル僧マルコスとサウマのうち、
前者は法王(ネストリオス派キリスト教の教皇)ヤフバラッハー3世となり、
後者はビザンティン帝国を経てヴァティカン、そして西ヨーロッパに赴き英国王とも会見。
他方キリスト教に親和的だったイル・ハーン国のバイドゥー汗が殺されると、
ヤフラバッハー法王以下のネストリオス派大主教、主教らは逮捕され拷問・迫害に遭い、
にわかに教勢は衰亡していってしまうという顛末を、史料に則して分かり易く語ってくれる良書です。]
[ 景教(ネストリウス派キリスト教)は13世紀頃までは、中東〜中国に至る広汎な範囲で大きな勢力を持った。
1270年頃、北京郊外から2人の景教僧侶(ウイグル人)が聖地エルサレムへと旅だった。
苦難の道のりの末、2人は景教の総本山たるバグダッドへたどりつき、
ひとりは法皇に任ぜられることになり、
もうひとりは大使としてローマなどを巡歴することになる。
しかし、やがてイスラムの勢力が強くなり、中東の景教は壊滅状態に陥っていく。
そのあたりの流れが、14世紀中頃に起源を持つシリア語写本をもとに解説されている。
また、当時の時代背景や政治状況についても詳しく説明され、
景教の滅亡が大きな「世界史」のなかで理解できるよう構成されている。
志村真幸 2013/8/19]
http://www.amazon.co.jp/%E5%8D%81%E4%B8%89%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%81%AE%E8%A5%BF%E6%96%B9%E8%A6%8B%E8%81%9E%E9%8C%B2-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E9%81%B8%E6%9B%B8-%E9%82%A3%E8%B0%B7-%E6%95%8F%E9%83%8E/dp/4106004410
本の好みがわりとツボどころのsolaris1さんのレビューより

アフガニスタンの歴史と文化 (世界歴史叢書)
ヴィレム フォーヘルサング著/前田 耕作/山内 和也【監訳】
明石書店 2005
The Afghans
Willem Vogelsang,
<これまで、アフガニスタンと呼ばれる地域の歴史は、
非常に中途半端に扱われてきたといえる。
特に本書を見てから、その思いを強くした。
従来出版された「アフガニスタンの歴史」とは、古代中世が極端に少なく、
事実上近代以降の、アフガン人国家誕生以降を描いたものに限られていた、といえる。
また、古代中世に関しては、アフガニスタンを発祥とする国家が殆どなく、
この地域は、古代中国の司馬遷において
「高附は、大夏、安息、印度のいづれかが取る」と記載されていたように、
その後の歴史も、殆どイラン、インド、中央アジア勢力のいづれかが支配した。
アフガニスタンに拠点を持つに至った勢力も、
発祥は別の土地だったりしたため、
この地域の歴史は、どうしても、支配した帝国全体の歴史として語られてしまい、
「じゃあ、その帝国の支配時代、アフガニスタン地域はどうだったのか」が、
わからないのが普通だったとさえ言えよう。
本書は、そうした歴史の隙間を埋めるがごとく、
当地域を通過した民族すべてが、当地域で何をしたか、に言及してゆく。
アケメネス朝に始まって、マウリヤ朝やサカ人、パルティアやササン朝、
イスラームの到来や、モンゴル時代やティムール時代まで、
殆ど言及されたことのない時代についても、詳細に、殆ど等分量で記載してゆく。
通常の歴史本が、クシャン朝や、グレコ・バクトリア王国、
ガズナ朝やバーブルなどに重点を置き勝ちな点と比べると、これは驚くべきことである。
このような次第だから、アフガン人の建国には350ページにならないとたどり着かない。
その代わり、建国以降は150ページくらいだが、索引参考文献、註を含めて770ページを超え
る大部の書となっている。>
solaris1
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ie=UTF8&page=24&sort_by=MostRecentReview#R3RCH3NOKHGIKI

十三世紀の西方見聞録 (新潮選書)
那谷 敏郎著
新潮社 1993
<マルコ・ポーロやルブルク、イブン・バットゥータなど、
西方から東方への旅行者とは反対に、
東方から西方への旅行者を扱った書籍です。
実際に旅行したのか定かでない、伝聞や山師の言い伝えの断片などを調査したものなのかもと、
期待してなかったのですが、非常に有益な内容だとわかりました。
特に下記の2面で有益です。
1.ネストリウス派歴史書として。
宗教専門書以外で、ネストリウス派の活動と歴史、
その勃興から衰退まで簡単わかる書籍は日本では他に思い当たりません。
山本由美子の「マニ教とゾロアスター教」の
ネストリウス派版程度の内容を期待してもよいかと思います。
2.イル汗国の歴史書として。
日本の書籍では、通常イル汗国に言及していても、
モンゴル帝国や、イラン史の一部として扱われ、中途半端な感じで、
読者も他の時代に注意がいってしまう、
或いは、歴史像がつかみづらい傾向があるかと思います。
本書は、西方へ派遣された2人のネストリウス派僧の一人が、
ネストリウス派の総主教に就任する為に、
イル汗国の国王・有力者と密接に結びつき、
第2代のアガバ汗から
衰退にいたるウジャーイートゥーイル汗の時代(1265~1316)の
国情を知ることができ、イル汗国歴史書としても有用です。
ネストリウス派を軸とすることで、
当時の中近東が、キリスト教世界、マムルーク朝、イル汗国の
3国時代の様相を呈している状況が明確になり、
ネストリウス派はこの時代の時代像を把握する
一つの糸口として有効なのだと思いました。
歴史のあちこちに断片的に現れるネストリウス派について、
統一した歴史像を知ることができ、
更に元の大都近郊で育ったネストリウス派の僧が、
ローマやフランスにまで至り、時のイングランド王に面会したり、
ローマで枢機卿と宗教論争までしていたとは知りませんでした。>
[「BOOK」データベース
十字軍遠征をめぐり、イギリス、フランスなどの西欧キリスト教勢力と
イスラム教勢力がしのぎをけずっていた十三世紀―。
聖地巡礼とローマ教皇拝掲をひたすらに願った景教僧の旅は、
否応なく国際情勢の渦に呑み込まれていった…。
景教の分かり易い解説をはじめ、
当時の中央アジア、ヨーロッパ諸国の情況をやさしく丁寧にひもときながら、
彼らの劇的な人生とダイナミックな歴史のドラマを描き出す。
西欧近代中人の視点ではない、新しいアングルから世界史に迫る歴史ロマン。
カスタマーレビュー
モンゴルがユーラシア大陸の大半を征服・支配していた13世紀に、
元の大都(北京)を出発した二人のネストリオス派キリスト教徒が、
シルクロードを踏破して西方世界にいたる雄大な旅物語です。
この二人のウイグル僧マルコスとサウマのうち、
前者は法王(ネストリオス派キリスト教の教皇)ヤフバラッハー3世となり、
後者はビザンティン帝国を経てヴァティカン、そして西ヨーロッパに赴き英国王とも会見。
他方キリスト教に親和的だったイル・ハーン国のバイドゥー汗が殺されると、
ヤフラバッハー法王以下のネストリオス派大主教、主教らは逮捕され拷問・迫害に遭い、
にわかに教勢は衰亡していってしまうという顛末を、史料に則して分かり易く語ってくれる良書です。]
[ 景教(ネストリウス派キリスト教)は13世紀頃までは、中東〜中国に至る広汎な範囲で大きな勢力を持った。
1270年頃、北京郊外から2人の景教僧侶(ウイグル人)が聖地エルサレムへと旅だった。
苦難の道のりの末、2人は景教の総本山たるバグダッドへたどりつき、
ひとりは法皇に任ぜられることになり、
もうひとりは大使としてローマなどを巡歴することになる。
しかし、やがてイスラムの勢力が強くなり、中東の景教は壊滅状態に陥っていく。
そのあたりの流れが、14世紀中頃に起源を持つシリア語写本をもとに解説されている。
また、当時の時代背景や政治状況についても詳しく説明され、
景教の滅亡が大きな「世界史」のなかで理解できるよう構成されている。
志村真幸 2013/8/19]
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