2016-06-13

『発光妖精とモスラ』 (追記)

『伊東忠太 オスマン帝国をゆく』
の帯に池澤夏樹さんが推薦文を書かれていた。
でも勉強不足でとんと、関係が不明で、調べていたら、
『イスタンブール歴史散歩』渋沢幸子共著 新潮社 とんぼの本 1994
くらいしか見つからず、さらに、福永武彦氏の息子さんだという。

で、福永武彦氏が何かトルコか建築にも関係しているのかと思って調べてみたら、
なんと、
中村真一郎・堀田善衛とともに映画『モスラ』の原作となる『発光妖精とモスラ』を執筆

という記述に出会う!
ええっ?

モスラのwikiによると、
<プロデューサーの田中友幸によると、
本作の企画原案は、制作の半年ほど前に森岩雄から
「怪獣が暴れまわる映画も結構だけど、女性も観られる怪獣映画というのはどうだろう。
すごく可愛らしい美人を出すんだよ」
と持ちかけられたのがきっかけという。
ここから「小美人」の設定が生まれ、
田中は文芸員だった椎野英之のつてで中村真一郎を紹介され、
中村と福永武彦、堀田善衛の三者に原作を依頼。
こうして公開に先駆けて『週刊朝日』で「発光妖精とモスラ」が掲載された。>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%82%B9%E3%83%A9

本は出ているのだろうか?
あった!
mosla1994origin.jpg

発光妖精とモスラ
中村 真一郎 (著), 福永 武彦 (著), 堀田 善衛 (著)
筑摩書房 1994
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480803290/

<安保闘争の熱気さめやらぬなか、
戦後文学を代表する3人の作家たちが、新しい大怪獣つくりにいどんだリレー小説。
知る人ぞ知る、映画「モスラ」幻の原作、初の単行本化。
遊び心と批評精神あふれる想像力の世界。
「モスラ」スチール写真42点、シナリオ第一稿、決定稿収録。>

mosla1994originindex.jpg

これは読みたい!
え?何?まだあるの?

mosla2007ono.jpg

モスラの精神を深読みすると、映画が10倍愉しくなる
『モスラの精神史』(小野俊太郎)(講談社現代新書)2007年
<「やはり気になるのは、横田飛行場、通称横田基地を破壊しながら進む場面である」と。
この基地はモスラ誕生の前年の「一九六〇年からはじまったベトナム戦争の激化で、
横田基地の注目を浴びることになるし、
すでに一九五五年には、立川基地の拡張工事に反対する砂川事件など記憶される出来事もあった」場所

もちろんこの映画『モスラ』はそのような政治的な主張を中心とした作品ではありません。
それと同様に、あるいはそれ以上に民俗学、神話学、民族学の知見もあり、
さらにその上に東宝のショービジネスのノウハウを活かしたからこそ傑作映画として完成したのです。
原作からの変更とシナリオに秘められた謎(モスラの歌の成立など)を
詳細に追う小野さんはさながらシャーロック・ホームズを思わせる名探偵ぶりです。
『モスラ』がその後の日本にどのような影響を与えたか、
宮崎駿のアニメーションにもその影響がうかがえるという
小野さんの指摘には納得させられるものがありました。>
http://news.kodansha.co.jp/20151224_b01
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062879019&_ga=1.253228873.157617684.1459818897

これも読みたい!

<モスラと言えば、
モスラヤ モスラ ドゥンガン カサクヤン インドゥムゥ~
で始まる歌である。
これはインドネシア語であり、日本語に翻訳すると、
「モスラよ 永遠の生命 モスラよ 悲しき下僕の祈りに応えて~」となるらしい>
モスラの精神史 - <眠る牛 浮かぶ睡蓮
http://bullotus.hatenablog.com/entry/2014/09/28/203633

そうだったのか!

<近時、これほど驚き入った本はない。
新書なのに戦後日本の政治と文化の関係を考えるエッセンスを
余さず凝集してみせようという覇気が凄いが、
それを映画銀幕に飛翔した一匹の巨大蛾の意味論をもって
語り尽くそうという野心がさらに凄い。大成功している。

中沢新一の「ゴジラの来迎」長山靖生による
怪獣が何故「南洋」から来るのかを説くエッセーには、心からびっくりした。

『幻想文学』誌の「ロストワールド文学館」特集以来、
恐竜をめぐる文化論が可能という斬新な方向があることは知っていたが、
そこいらの穴が小野氏の新刊で一挙に埋まったという感じがする。

何よりも驚いたのは、
子供向け怪獣映画『モスラ』に堂々の原作があり、
しかもそれを書いたのが戦後「純」文学を代表する中村真一郎、福永武彦、堀田善衛のトリオであったということだ。

低迷する文学の現状打破、文学と大衆文化の繋がりの模索という前衛的な文学実験であった原作は、
そのことも反映して、メタモルフォーゼ
(旧套からの変容、と同時に主役の巨蛾が幼虫からサナギになり成虫と化す、いわゆる「変態」をも指す)テーマの奇作となった。

これにシナリオ作者・関沢新一が係わり、
本多猪四郎、円谷英ニという映画サイドの人間が係わり、
作曲家・古関裕而が係わり、
フランキー堺やジェリー伊藤といった怪優が係わる。

東宝としての思惑だの、
東宝(これが東京宝塚劇場の略だと今回初めて知った!)の持つ歌や踊りのレパートリーという財産だのが絡まって、
「シナリオ作成と編集の過程で」原作がどんどんスペクタクルに変えられていく、
原作歪曲の「変態」ぶりへの分析が主軸。
関係者一人一人が、
南方戦略への応召だの、飛行機好きだの、
それぞれの人生の特徴をどこかで『モスラ』の変態に反映させているという。>
高山宏の読んで生き、書いて死ぬ :
『モスラの精神史』小野俊太郎(講談社
2007年07月20日...
booklog.kinokuniya.co.jp/takayama/archives/.../post_12.html -

gensou08.jpg

季刊 幻想文学第8号 
特集:ロストワールド文学館 幻想文学出版局 1984年

長山 靖生(ながやま やすお
1996年、『偽史冒険世界 カルト本の百年』で大衆文学研究賞・研究・考証部門を、
2010年、『日本SF精神史 幕末・明治から戦後まで』で第41回星雲賞ノンフィクション部門、第31回日本SF大賞を受賞。
、横田順彌、會津信吾らと、日本古典SF研究会の創立に参加。
奇異譚とユートピア - 近代日本驚異小説史 中央公論新社 – 2016
日本SF精神史----幕末・明治から戦後まで (河出ブックス)2009
戦後SF事件史---日本的想像力の70年 (河出ブックス) 2012

「被爆のファンタジーを超越した守護神としてのモスラ」)と指摘する。
ゴジラ・モスラ・原水爆―特撮映画の社会学
好井 裕明 (著)せりか書房 2007

gozimosatom2007yoshii.jpg

「原爆文学」探査⑦
中村真一郎/福永武彦/堀田善衛 『発光妖精とモスラ』
坂口博 <原爆文学研究会
http://www.genbunken.net/kenkyu/07pdf/sakaguchi.pdf#search=%27%E3%80%8C%E7%99%BA%E5%85%89%E5%A6%96%E7%B2%BE%E3%81%A8%E3%83%A2%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%80%8D%27

いろいろ面白そうです。
映画『モスラ』の原作
(『発光妖精とモスラ』
中村真一郎/福永武彦/堀田善衛)
他の本にも収録されていました。

kaijuliterature1998.jpg

怪獣文学大全
東 雅夫 (編集) (河出文庫)1998


ゴジラの来る夜」武田泰淳
「発行妖精とモスラ」中村真一郎、福永武彦、堀田善衛
「闇の声」ウィリアム・ホープ・ホジソン
「マタンゴ」福島正美
「マタンゴを喰ったな」橋本治
「更にマタンゴを喰ったな」橋本治
「マタンゴ」大槻ケンジ
「科学小説」花田清輝
「ガブラ -海は狂っている」香山滋
「マグラ!」光瀬龍
「日本漂流」小松左京
「レッドキングの復讐」井上雅彦
「ゴジラの来迎・もうひとつの科学史」中沢新一
巻末エッセイ「思い出の「マグラ!」」光瀬龍

kaijunovel1993.jpg

怪獣大戦争 (怪獣小説全集2)
黒沼 健/他著 出版芸術社  1993


<怪獣映画の原作小説を網羅したファン待望のアンソロジー。
雑誌別冊に掲載された「ラドンの誕生」、
同じく別冊掲載の「大怪獣モスラ」、
平成ゴジラ映画の先鞭「ゴジラVSビオランテ」の3編を収録。
二億年の眠りから醒めた巨大翼竜ラドン。原作は雑誌の別冊附録として発表されたため、ほとんど入手不可能。(「ラドン」)。
ザ・ピーナッツの歌声に導かれ優雅に空を飛ぶモスラは、ゴジラと並ぶ人気怪獣である。
これも別冊附録に発表、初の単行本。(「モスラ」)。
二大怪獣の激闘を描いて平成ゴジラシリーズの口火を切った傑作。
応募入選のオリジナル原作は、もちろん単行本初収録。(「ゴジラVSビオランテ」)。 >

怪獣小説全集Ⅰ「怪獣総進撃」
(「ゴジラ・G作品検討用台本/香山茂」「獣人雪男/香山茂」 「マタンゴ/福島正美」)

怪獣映画の原作小説を網羅したファン待望のアンソロジー。
不朽の名作「ゴジラ」のオリジナル台本、ビデオ化されていない「獣人雪男」、
異色のホラー作品「マタンゴ」の原作3編を収録。
日本怪獣映画の原点というべき不朽の名作。
企画書として書かれたまま、永らく埋もれていたオリジナル原作を、初めて単行本化。(「ゴジラ」)。
東宝怪獣映画シリーズ中、唯一ビデオ化されていない幻の作品。ゴジラと同じ香山滋による原作は、
昭和30年の初刊以来、38年ぶりの復活。(「獣人雪男」)。
キノコ人間・マタンゴの恐怖を描いてファンの評価も高い異色のホラー作品。
掲載誌不明とされていた原作小説をついに発見。(「マタンゴ」)。
gensou39.jpg

季刊 幻想文学第39号 特集:大怪獣文学館 
幻想文学出版局 1993年

三大怪獣小説の競演 
{「ゴジラ」の来る夜(武田泰淳)/
発光妖精とモスラ(中村真一郎、福永武彦、堀田善衛)/
ラドンの誕生(黒沼健)}
eigatakarajima1992.jpg

映画宝島 怪獣学・入門
JICC出版局(別冊宝島)
1992年
映画批評家たちが見過ごしてきた「怪獣映画の思想」を、初めて徹底的に解読!
「ゴジラが何故「南洋」から来るのか」長山靖生~収録
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