2020-11-15
気になる本のメモ
『有職の色彩図鑑』八條忠基
淡交社 (2020/10/16)
有職文様図鑑 (223) (コロナ・ブックス) 八條忠基
平凡社 (2020/7/27)
*****
僧侶と海商たちの東シナ海
榎本 渉
定価 : 本体1,180円(税別)
講談社学術文庫
「894年遣唐使廃止」は日本を変える出来事ではなかった!
列島を取り巻く大海原をたくましく乗り越え、「外」と日本を繋ぎ続ける人たちがいたのだ。
利を求め、危険を顧みずに海を闊歩する海商たちと、
彼らの助けを得て、最新の知識を求めて大陸へ渡ろうとする僧侶たち。
史料に数多く残された僧たちの足跡を辿ることで、海域交流の実相に迫り、歴史世界としての東シナ海を描き出す!
従来の「日本史」の枠を超えて、より広く深く歴史を知る一冊。
病が語る日本史
講談社学術文庫
著:酒井 シヅ
2008年08月08日
平安時代の人々は病気に罹ると怨霊・物の怪の所為とそれにおびえ、加持祈祷を大々的に行った。また仏教の伝来、遣唐使の派遣は海外の伝染病をもたらした。そして疾病の蔓延は人々を苦しめ、政治を動かし、大きく変えもした。
寄生虫に冒され、結核やポリオも病んだ縄文・弥生の人々、贅沢病ともいえる糖尿病で苦しんだ藤原家一族、江戸時代猛威をふるったインフルエンザやコレラ。
その他、天然痘、麻疹、梅毒、眼病、脚気など、各病気と当時の人びとがいかに闘ってきたかを、歴史上の事件、有名な人物の逸話を交え、〈病〉という視点を軸に展開していきます。
日本武尊の死因・脚気の原因はいつ明らかにされたか?
もし武田信玄がガンで急死しなかったら?
具体的な謎解きをまじえ、読者の興味を引き付けながら、それらの病が日本の歴史に及ぼした影響をさぐってゆきます。
医学史研究の第一人者が語る病気の文化史であり病気の社会史です。
原本 『病が語る日本史』講談社、2002年刊
*****
物語 ナイジェリアの歴史
「アフリカの巨人」の実像
島田周平 著
中公新書 (2019/5/21)
アフリカはサハラ砂漠南縁を境に、北のアラブ主義と南のネグロ主義に分けられる。現在この両者にまたがる唯一の国がナイジェリアである。サハラ交易による繁栄、イスラームの流入、奴隷貿易、イギリスの統治などを経て、ナイジェリアは人口・経済ともにアフリカ最大の国となった。20世紀には150万人以上の犠牲者を出したビアフラ戦争を経験し、イスラーム過激派組織ボコ・ハラムを抱える「アフリカの巨人」の歴史を辿る。
http://www.chuko.co.jp/shinsho/2019/05/102545.html
http://www.chuko.co.jp/shinsho/portal/112642.html
中国の歴史 1 神話から歴史へ 神話時代 夏王朝
(講談社学術文庫
宮本 一夫
講談社創業100周年企画として2004年~05年に出版された全集「中国の歴史・全12巻」の学術文庫版が、いよいよ刊行開始。本全集は、2014年には中国で、2016年からは台湾で翻訳出版され、そのレベルの高さと視点の新しさから累計で150万部を超えるベストセラーになっている。
待望の文庫化、第1回配本は、第1巻と第2巻の同時配本。第1巻では、長年、中国での遺跡発掘を手掛けてきた著者が、「三皇五帝」や「盤古伝説」などで知られる中国の神話の表す史実を探り、「夏王朝」「殷王朝」の謎に迫る。
中国の古代文明といえば、かつては「黄河文明」を指したが、現在では、長江流域をはじめ、各地の多様な自然環境から展開した多元的な古代文明と理解されている。現在の中国のさまざまな地域社会や風土を考える際にも、こうした先史時代から続く地域文化の脈絡を無視できないのである。約1万年前の新石器時代、南北の文化地帯の周縁でアワ・キビ農耕や稲作農耕が生まれ、そこから牧畜型農耕社会と遊牧社会が分離し、さらにその周辺には狩猟採集民が存在した。こうした基本的生活様式が誕生した中から、いかにして初期国家が生まれたのか。最古の王朝とされる夏王朝と二里頭文化の関係とは――。
文庫化にあたり、原本刊行後の重要な遺跡と発掘成果を大幅に加筆。〔原本:2005年、講談社刊〕https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000345549
中国の歴史2 都市国家から中華へ 殷周 春秋戦国
平勢 隆郎
第1巻と同時発売の第2巻では、夏・殷・周の三代の王朝と、春秋戦国時代を扱う。司馬遷の『史記』などに語られる歴史は、すべてが確かな「事実」なのだろうか。後代の建て前や常識に縛られ、架空の「事実」を盛り込まれた史書や注釈書の中から、ほんとうの「事実」を探り出す道筋を示す。夏殷周三代の王朝や、戦国時代の領域国家は、新石器時代以来の文化地域を母体として成立しており、いまだ『史記』で語られるような「天下」を成してはいなかったのである。
紀元前1023年、大国・殷を滅ぼした周は、青銅器に文字を鋳込む技術を殷から継承し、独占してそれを権威とした。しかし、その周も前8世紀には東西に分裂してやがて滅ぶ。つづく春秋時代も、それまでと同じく文化地域ごとに大国が小国を率いた時代だったが、漢字が周以外の大国の地域にも根づいていく。そして、大国が小国を滅ぼして官僚を派遣し、中央と地方を結ぶ文書行政が開始され、それを支える律令が整備されたのが、戦国時代だった。〔原本:2005年、講談社刊〕
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000345550
講談社学術文庫
興亡の世界史 東南アジア 多文明世界の発見
石澤良昭【著】
(2018/08発売)
インドと中国にはさまれて仏教とヒンドゥー教の影響を受けながら多彩な歴史を歩んできた東南アジア。なかでも一二世紀に最盛期を迎えたアンコール王朝は、巨大遺跡と仏教美術で多くの世界遺産を誇る。本書はアンコール研究に半生を捧げてマグサイサイ賞を受けた著者がアンコール王朝600年の盛衰と人々の日常生活を再現し、多彩な東南アジア諸王朝の興亡を明らかにする。東南アジア諸国の歴史と現状を理解するための必読書。
講談社創業100周年記企画「興亡の世界史」の学術文庫版。大好評、第4期の2冊目。東南アジアは、インドと中国にはさまれた地理上の位置から、双方の影響を受けながら多彩な歴史と王朝の興亡を繰り返してきた。自然に恵まれた多言語、多宗教世界の軌跡をアンコール・ワット研究に半生をささげた著者が追求。仏教やヒンドゥー教の宇宙観にもとづく寺院や王宮の建設と王朝盛衰の真相を新たに発掘された考古学上の成果から解明。遺跡に刻まれた人々の暮らしを復元するとともに、500年前、鎖国直前にアンコール・ワットを訪れた日本人の足跡を明らかにして東南アジアと日本の隠された歴史をも発掘した渾身の力作である。[原本:『興亡の世界史11 東南アジア 多文明世界の発見』講談社 2009年刊]
講談社学術文庫
興亡の世界史 大日本・満州帝国の遺産
姜尚中【著】/玄武岩【著】
(2016/06発売)
東京帝大の学生時代は北一輝に心酔し、官界に進んでからは革新官僚として満州の経営に辣腕を振るった岸信介。敗戦後はA級戦犯容疑から総理の座に昇り詰め、高度成長を発進させて昭和の妖怪とも呼ばれる。かたや教師から立身のため満州国軍人となった青年は、戦後、韓国軍の中で頭角を現し、クーデタで政権を掌握。独裁者となって漢江の奇跡と呼ばれる高度成長を達成する。朴正煕と岸信介、二人の揺籃の地、満州国の遺産を問う。
講談社創業100周年記念企画として刊行された全集「興亡の世界史」の学術文庫版第一期のうちの第5冊目。
戦前は革新官僚として満州国の経営に辣腕を振るい、戦後はA級戦犯容疑のどん底から首相に昇り詰めて高度経済成長を発進させ、日米安保改定の立役者となった岸信介。
かたや植民地の教師から満州国軍官学校に入学し、皇帝・溥儀から金時計を授与された帝国軍人・高木正雄。敗戦後、朴正煕として韓国軍のなかで頭角を現しクーデタを決行。大統領となってからは「漢江の奇跡」とよばれる近代化を成し遂げる。
昭和の妖怪・岸信介と独裁者・朴正煕は、大日本帝国の「生命線」・満州の地で、権力を支える人脈を築き、国造りの方策を学んだ後、戦後の激変期を冷戦によるアメリカの方針転換で死の淵から奇跡的に生還したことで共通する。
アジアのニュー・アトランティスのように聳え立ち、蜃気楼のように消えた満州国。しかし、その影響力は現代の日韓両国の政治経済の深部にまで及んでいる。戦後の日本と韓国の枠組みをつくり、その孫(安倍晋三首相)と娘(朴槿恵大統領)が今なお日韓両国の権力の座を占めている二人の足跡から、満州国の虚実と遺産を問い直す。
原本:『興亡の世界史 第18巻 大日本・満州帝国の遺産』講談社 2010年刊
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000211834
淡交社 (2020/10/16)
有職文様図鑑 (223) (コロナ・ブックス) 八條忠基
平凡社 (2020/7/27)
*****
僧侶と海商たちの東シナ海
榎本 渉
定価 : 本体1,180円(税別)
講談社学術文庫
「894年遣唐使廃止」は日本を変える出来事ではなかった!
列島を取り巻く大海原をたくましく乗り越え、「外」と日本を繋ぎ続ける人たちがいたのだ。
利を求め、危険を顧みずに海を闊歩する海商たちと、
彼らの助けを得て、最新の知識を求めて大陸へ渡ろうとする僧侶たち。
史料に数多く残された僧たちの足跡を辿ることで、海域交流の実相に迫り、歴史世界としての東シナ海を描き出す!
従来の「日本史」の枠を超えて、より広く深く歴史を知る一冊。
病が語る日本史
講談社学術文庫
著:酒井 シヅ
2008年08月08日
平安時代の人々は病気に罹ると怨霊・物の怪の所為とそれにおびえ、加持祈祷を大々的に行った。また仏教の伝来、遣唐使の派遣は海外の伝染病をもたらした。そして疾病の蔓延は人々を苦しめ、政治を動かし、大きく変えもした。
寄生虫に冒され、結核やポリオも病んだ縄文・弥生の人々、贅沢病ともいえる糖尿病で苦しんだ藤原家一族、江戸時代猛威をふるったインフルエンザやコレラ。
その他、天然痘、麻疹、梅毒、眼病、脚気など、各病気と当時の人びとがいかに闘ってきたかを、歴史上の事件、有名な人物の逸話を交え、〈病〉という視点を軸に展開していきます。
日本武尊の死因・脚気の原因はいつ明らかにされたか?
もし武田信玄がガンで急死しなかったら?
具体的な謎解きをまじえ、読者の興味を引き付けながら、それらの病が日本の歴史に及ぼした影響をさぐってゆきます。
医学史研究の第一人者が語る病気の文化史であり病気の社会史です。
原本 『病が語る日本史』講談社、2002年刊
*****
物語 ナイジェリアの歴史
「アフリカの巨人」の実像
島田周平 著
中公新書 (2019/5/21)
アフリカはサハラ砂漠南縁を境に、北のアラブ主義と南のネグロ主義に分けられる。現在この両者にまたがる唯一の国がナイジェリアである。サハラ交易による繁栄、イスラームの流入、奴隷貿易、イギリスの統治などを経て、ナイジェリアは人口・経済ともにアフリカ最大の国となった。20世紀には150万人以上の犠牲者を出したビアフラ戦争を経験し、イスラーム過激派組織ボコ・ハラムを抱える「アフリカの巨人」の歴史を辿る。
http://www.chuko.co.jp/shinsho/2019/05/102545.html
http://www.chuko.co.jp/shinsho/portal/112642.html
中国の歴史 1 神話から歴史へ 神話時代 夏王朝
(講談社学術文庫
宮本 一夫
講談社創業100周年企画として2004年~05年に出版された全集「中国の歴史・全12巻」の学術文庫版が、いよいよ刊行開始。本全集は、2014年には中国で、2016年からは台湾で翻訳出版され、そのレベルの高さと視点の新しさから累計で150万部を超えるベストセラーになっている。
待望の文庫化、第1回配本は、第1巻と第2巻の同時配本。第1巻では、長年、中国での遺跡発掘を手掛けてきた著者が、「三皇五帝」や「盤古伝説」などで知られる中国の神話の表す史実を探り、「夏王朝」「殷王朝」の謎に迫る。
中国の古代文明といえば、かつては「黄河文明」を指したが、現在では、長江流域をはじめ、各地の多様な自然環境から展開した多元的な古代文明と理解されている。現在の中国のさまざまな地域社会や風土を考える際にも、こうした先史時代から続く地域文化の脈絡を無視できないのである。約1万年前の新石器時代、南北の文化地帯の周縁でアワ・キビ農耕や稲作農耕が生まれ、そこから牧畜型農耕社会と遊牧社会が分離し、さらにその周辺には狩猟採集民が存在した。こうした基本的生活様式が誕生した中から、いかにして初期国家が生まれたのか。最古の王朝とされる夏王朝と二里頭文化の関係とは――。
文庫化にあたり、原本刊行後の重要な遺跡と発掘成果を大幅に加筆。〔原本:2005年、講談社刊〕https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000345549
中国の歴史2 都市国家から中華へ 殷周 春秋戦国
平勢 隆郎
第1巻と同時発売の第2巻では、夏・殷・周の三代の王朝と、春秋戦国時代を扱う。司馬遷の『史記』などに語られる歴史は、すべてが確かな「事実」なのだろうか。後代の建て前や常識に縛られ、架空の「事実」を盛り込まれた史書や注釈書の中から、ほんとうの「事実」を探り出す道筋を示す。夏殷周三代の王朝や、戦国時代の領域国家は、新石器時代以来の文化地域を母体として成立しており、いまだ『史記』で語られるような「天下」を成してはいなかったのである。
紀元前1023年、大国・殷を滅ぼした周は、青銅器に文字を鋳込む技術を殷から継承し、独占してそれを権威とした。しかし、その周も前8世紀には東西に分裂してやがて滅ぶ。つづく春秋時代も、それまでと同じく文化地域ごとに大国が小国を率いた時代だったが、漢字が周以外の大国の地域にも根づいていく。そして、大国が小国を滅ぼして官僚を派遣し、中央と地方を結ぶ文書行政が開始され、それを支える律令が整備されたのが、戦国時代だった。〔原本:2005年、講談社刊〕
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000345550
講談社学術文庫
興亡の世界史 東南アジア 多文明世界の発見
石澤良昭【著】
(2018/08発売)
インドと中国にはさまれて仏教とヒンドゥー教の影響を受けながら多彩な歴史を歩んできた東南アジア。なかでも一二世紀に最盛期を迎えたアンコール王朝は、巨大遺跡と仏教美術で多くの世界遺産を誇る。本書はアンコール研究に半生を捧げてマグサイサイ賞を受けた著者がアンコール王朝600年の盛衰と人々の日常生活を再現し、多彩な東南アジア諸王朝の興亡を明らかにする。東南アジア諸国の歴史と現状を理解するための必読書。
講談社創業100周年記企画「興亡の世界史」の学術文庫版。大好評、第4期の2冊目。東南アジアは、インドと中国にはさまれた地理上の位置から、双方の影響を受けながら多彩な歴史と王朝の興亡を繰り返してきた。自然に恵まれた多言語、多宗教世界の軌跡をアンコール・ワット研究に半生をささげた著者が追求。仏教やヒンドゥー教の宇宙観にもとづく寺院や王宮の建設と王朝盛衰の真相を新たに発掘された考古学上の成果から解明。遺跡に刻まれた人々の暮らしを復元するとともに、500年前、鎖国直前にアンコール・ワットを訪れた日本人の足跡を明らかにして東南アジアと日本の隠された歴史をも発掘した渾身の力作である。[原本:『興亡の世界史11 東南アジア 多文明世界の発見』講談社 2009年刊]
講談社学術文庫
興亡の世界史 大日本・満州帝国の遺産
姜尚中【著】/玄武岩【著】
(2016/06発売)
東京帝大の学生時代は北一輝に心酔し、官界に進んでからは革新官僚として満州の経営に辣腕を振るった岸信介。敗戦後はA級戦犯容疑から総理の座に昇り詰め、高度成長を発進させて昭和の妖怪とも呼ばれる。かたや教師から立身のため満州国軍人となった青年は、戦後、韓国軍の中で頭角を現し、クーデタで政権を掌握。独裁者となって漢江の奇跡と呼ばれる高度成長を達成する。朴正煕と岸信介、二人の揺籃の地、満州国の遺産を問う。
講談社創業100周年記念企画として刊行された全集「興亡の世界史」の学術文庫版第一期のうちの第5冊目。
戦前は革新官僚として満州国の経営に辣腕を振るい、戦後はA級戦犯容疑のどん底から首相に昇り詰めて高度経済成長を発進させ、日米安保改定の立役者となった岸信介。
かたや植民地の教師から満州国軍官学校に入学し、皇帝・溥儀から金時計を授与された帝国軍人・高木正雄。敗戦後、朴正煕として韓国軍のなかで頭角を現しクーデタを決行。大統領となってからは「漢江の奇跡」とよばれる近代化を成し遂げる。
昭和の妖怪・岸信介と独裁者・朴正煕は、大日本帝国の「生命線」・満州の地で、権力を支える人脈を築き、国造りの方策を学んだ後、戦後の激変期を冷戦によるアメリカの方針転換で死の淵から奇跡的に生還したことで共通する。
アジアのニュー・アトランティスのように聳え立ち、蜃気楼のように消えた満州国。しかし、その影響力は現代の日韓両国の政治経済の深部にまで及んでいる。戦後の日本と韓国の枠組みをつくり、その孫(安倍晋三首相)と娘(朴槿恵大統領)が今なお日韓両国の権力の座を占めている二人の足跡から、満州国の虚実と遺産を問い直す。
原本:『興亡の世界史 第18巻 大日本・満州帝国の遺産』講談社 2010年刊
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000211834
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