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2021-06-20

「オモロイなぁ」が生む世界的研究

大阪人気質と緒方洪庵の伝統、がんばってほしいです。

「オモロイなぁ」が生む世界的研究 堀井俊宏さん

関西のミカタ 大阪大名誉教授
関西タイムライン
2021年6月16日 2:01

ほりい・としひろ 
1953年大阪府枚方市生まれ。76年大阪大学理学部卒、78年同大学院修士課程修了。大阪大学で80年助手。
91年微生物病研究所助教授、99年教授、
2019年より現職、同研究所マラリアワクチン開発寄付研究部門教授。

■アフリカ風の置物や壁紙に囲まれた大阪大学微生物病研究所(阪大微研)の一室。
あるじの阪大名誉教授、堀井俊宏さん(67)は
世界三大感染症の一つとされるマラリアのワクチン研究でトップランナーの一人だ。
アフリカに足を運びつつ、人生のほとんどを大阪で過ごしてきた。

4月に終わった第1段階の臨床試験(治験)のデータを統計解析しているところで、非常にいいデータが出ている。
今使われているワクチンの効果は30%程度。
それと比べると「冗談だろう」と言われてしまうくらいの効果が期待できそうだ。
2019年に一度定年退職したが、寄付講座で研究を続けられている。
阪大の教授は退職時に自らの研究を振り返る講演をするが、私は今後のことばかりを話した。
開発中のワクチンはいいものだという確信がある。途中で投げ出すわけにはいかない。

生まれてこのかた、ずっと大阪府民だ。
4~5年前は大阪気質が嫌いになることもあったが、そこで気づいたことがある。
大阪人は京都や神戸のようなプライド意識がない。
他からどう見られるかそれほど気にせず、失敗したときのことより成功したときの楽しさを考える楽天的な気質の人が多い。
「オモロイなぁ」という考えが、かつて回転ずしを生み、ダイエーを生んだと言えよう。


マラリア研究も、もともと興味があるわけではなかったが、阪大の研究者として生きていくには世界初を目指さなければならない。「人が手をつけない面白いものを研究したい」と考えた。


大阪は古くから感染症研究が盛んだ。
天然痘やコレラと闘った緒方洪庵が開いた適塾は、大阪大学医学部の源流となる。
「関西の結核をなくしたい」と1934年に設立された阪大微研は、世界初の研究成果を生み出してきた。


大阪に古くから教養や文化、医療研究の土壌がある背景には船場の商人文化があると思う。
船場の主人や番頭さんたちは教養や文化を身につけようと皆で日々学んでいた。
緒方洪庵は単なる町医者にとどまらず、「日本人を救う」と今でいうグローバル精神を持っていた。

大阪は研究者にとって、いい環境だと思う。
例えば、世界初の水痘ワクチンを生んだ、高橋理明先生と初めてお会いしたときのことだ。
ふらりと訪れ「ところでキミは何やってんねん」と聞いてきた。
説明をすると「ちょっと助けてあげようか」と、阪大微生物病研究会(BIKEN財団)の理事として研究を後押ししてくれた。
大阪の人は誰であろうと、初対面でも昔からの知り合いみたいになれる。
外国人旅行者が大阪市西成区を訪れて「素晴らしい」と感じるのも、初対面の人でも仲間のように迎え入れる気風を評価してのことだろう。

■感染症の研究者として新型コロナウイルスの感染状況や、世界の研究者のチャレンジを興味深く見つめている。

ワクチン開発競争では、米ファイザーや米モデルナが早かった。
メッセンジャーRNA(mRNA)は仕組み上、手早く作ることができる。
また政府からの支援があった。
日本は政府の支援策が乏しいことに加えて、危険性を完全に払拭し安全な生産体制を確立できなければ動けないというお国柄もある。

国産ワクチン候補の実用化は厳しい状況にある。
治療薬の研究開発に取り組んでいる研究者はたくさんいるので、ここに期待したい。
感染症対策においてはワクチンと治療薬の両方がなければ健康と福祉は守れない。


2020年は新型コロナウイルスと人類との戦いでは負けてしまった。
第2ラウンドである21年はワクチン接種が始まり引き分けといったところ。
第3ラウンドの22年には勝てると確信している。(聞き手は宮住達朗)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF10BEK0Q1A610C2000000/
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